ひとくちに動物愛護と言っても、対象となる動物はペット・実験動物・動物園で飼育されている動物・家畜・・・と様々です。この中で唯一、経済動物として位置付けられているのが家畜です。それを念頭において動物愛護とは何かということについて考えてみましょう。
まず「動物権」と「動物福祉」という違いを知る必要があります。
20世紀のオーストラリアの倫理学者ピーター・シンガーが提唱した「動物権」という考え方は、人間の権利を動物にも適用するというものです。この考え方は倫理学上画期的なものですが、「どのような動物実験であっても(たとえ人道的であったとしても)、人間と同じ権利を有する!」という極端なものです。しかし、このような思想は過激な動物愛護運動へと発展する可能性があります。
それに対して「動物福祉」は、人道的な動物の扱いを求めています。苦痛を与えることや、不衛生な環境で飼うことをやめましょうと言っているわけです。実験動物に関しては、昨今代替法という手法も発達してきており、直接動物を殺傷しないような気配りがされるようになってきています。
「動物権」「動物福祉」という2つの考え方があったからこそ動物愛護という概念が生まれたとも言えます。では同様の考え方を経済動物である採卵鶏に適用することが現実的なのでしょうか。
世界情勢を見れば好むと好まざるとにかかわらず、動物愛護の流れは確実に日本にも影響を与えそうです。
①ヨーロッパでは動物愛護団体主導で「動物愛護に関する条例」が整備されたため、生産者にとっては非常に規制の厳しいものとなっている。
②その状況から、生産者自らが動き自発的に規制内容を作成したのがアメリカ。これによって、動物福祉団体による極端な規制を作成することに対してけん制することが出来、ある程度緩やかな規制を適用させることに成功した。
③そして日本。我々もヨーロッパと同じ轍を踏まないために、特例社団法人 畜産技術協会にてガイドラインを作成(2009年3月完成予定)。
(参考)「5つの自由」
動物愛護の観点では、元々、欧州において定着し、国際的にも知られた概念である「5つの自由」について認識する必要がある。
①飢餓と渇きからの自由
②苦痛、傷害又は疾病からの自由
③恐怖及び苦悩からの自由
④物理的、熱の不快さからの自由
⑤正常な行動ができる自由


